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読書感想文「HYBRIDCHILDシリーズ」について

HYBRIDCHILDシリーズ UMIN’S CLUB について

永遠の命とは何だろう…
それは儚い人間の一生を手を触れられない紗幕の外から狂おしくただ眼差しを向けることだけを許されるようなものではないだろうか。傍観者として。罪深い窃視者として。
それは回転木馬の軸から廻り廻る人の世の瞬きを限りある命の光芒を手の指からこぼれ落ちる砂のように止めようもなく去りゆくものを見つめるのにもまた似ている。

パンドラとも異名するファージ(悪ガキ)はHYBRIDと呼ばれる人工生命体
天才博士セズ・デュマが「ファクトリー」で最後に手がけたピグマリオンだ。
ピグマリオンはセズ・デュマが幼少期に「ジャスパー」という長命種の人間と出逢ったことを切掛に誕生した老いることも病気や怪我で死ぬこともない強靱な人工生命だが、余りにも人間に近づきすぎた心は限りある命の人間への恋慕とその葛藤からの狂気に陥るという病に至る運命にあった。
最後に誕生したパンドラ=ファージはセズの遺言により30体のピグマリオンを永遠の眠りにつかせる死の天使として長命種ジャスパーと共に「ピグマリオン狩り」を遂行することとなる。


物語は狩りにより出逢う夫々のピグマリオンの狂おしい美と恋情の悲劇が綴られる。
しかしシリーズは運命の星アズル・エミネンで出逢ったピグマリオンの存在にファージが「ピグマリオン狩り」を躊躇しそしてその運命を共に受け入れたジャスパーと永遠を誓い…そしてセズ・デュマが最初に作ったプロトタイプのハイブリッド「アーク」の登場で急速に流れ出す。ファージを眠らせ、自らを新たなる「ビグマリオン狩り」と称する「アーク」はセズと同化したかのようにジャスパーに固執する。
ジャスパーは眠るファージをピグマリオン研究者のセトに託しファージを目覚めさせるキーを求めアークを探す。

セズの後継者「セレン」と「ファクトリー」はファージを探索し、また「ピグマリオン狩り」に対抗するピグマリオン達の組織はファージとセトを奪還。物語はさらに急速に展開する。

ここには存在意義と愛への固執、狂った運命に押し流され絡め取られもがき、「心動かされる(エモーション)」ことを渇望しながら生きるセレンとアークの非対称な二人の狂奔が描かれる。人の愛と狂気・ハイブリッドの愛と狂気。

目覚めたファージはパンドラの運命から逃れジャスパーとの「アズル・エミネン」での永遠の誓いを成就できるのか…。

最も最初に描かれた緻密でしかし夢想的であり、またもっとも時の流れの異なる恋人達の悲劇をリアルに描いたこのシリーズ第1話「リブレシオンの柩」は1996年に描かれた。このシリーズ全体を通奏低音のように流れる、「儚い人の一生の限りある美しさ」と「永遠を生きる不老の種」の交錯。シリーズ内年代ではしかしもっとも後代に当たる物語。(シリーズ最終話よりもさらに後の時代の物語)
ここでは、ファージとジャスパーは物語をまさに「軸から見た回転木馬」のように傍観する語り部であり、物語の主人公は狩られるピグマリオンとそのピグマリオンがかしずく滅び行く王国の最後の王女である。

端正な、人というもの、生きると言うこと、そしてタナトス…「死」への考察とピグマリオンが陥るという「愛」という「病み」の美しさが、読み切り連作として続くシリーズ前段…
「アーク」というジャスパーへの固執と創造者セズへの恋慕とを併せ持つ「セズの狂気の合わせ鏡」のような存在とそしてファージが何故「パンドラ(神から人類に送られた凶事が込められた禁断の筺を開けたエピメテウスの妻)引いては開けてはならない災厄の意」と呼ばれるかに至る最終話まで。
それは緩やかに回り始めた回転木馬が急速に速度を増すような眩暈を感じるような読書感覚だった。
(リアルタイムで読んでいる読者が1年おきに出されるこのドラマの続編を待ったことを思うとまとめ読みしたからこそのスピード感だったかもしれない。)

SFファンタジードラマシリーズの大巻であるこのHYBRIDCHILDシリーズはエンターティメント要素もあり、求める読者が探し当てるタイプの、グラフィックノベルのようでもあり、のびやかで作者の熱が伝わってくるエモーショナルな作品でもある。作者がキャラクターを世界を愛して止まないという熱情が伝わってくるのである。

全巻をBOOK☆WALKERで読むことが出来る。
https://bookwalker.jp/series/186113/list/

ファサード22天空の契

…今新潟暮らしをしている私は大学から自宅まで短いタクシーに乗る
先日の運転手さんは変わった方で「ウィルスは地球にとってはワクチンなのかも知れませんね」と温暖化の話の中でそうおっしゃった。共感を感じながらもそも元々人である私は最後は人の傍らにしか寄る辺なくと脳内で独り言したものである。

篠原烏童先生のファサード最新刊「天空の契」を読みました。

ファサードが変転する数多の異世界は理にかないながらも毎回驚天動地の則が支配する世界であって、その中で忽然と顕れたキーポイントであるファサードがその世界に作用する瞬間を私たちは見届けているのだと思うけれど。

もうひとつ、どの世界に置いても生きる物は誤り迷妄の罠に陥り惑い足掻いている。けれどもその中に貫かれているものがある。

それは常にこの現世に生きる人間の世界でも、傍らで小さく灯され、世の荒波に晒されては揺らぎ、大風の前に消失しそうになりながらしかし、厳然と灯されている…「尊厳」という灯りである。
人はファサードを繙くたびに己を省みざるをえない。みずからを省みて顔を赤らめ、あるいはふと慰められ、そして作品の著者が我々がともすればかき消してしまいかねない「尊厳」をファサードという作品を通して「鞴」の息を吹きかけて灯し起こして呉れているのを感じるのだ。

天空の契については小さなことも「ネタバレ」になりかねなくてこんな抽象的な印象しか書けないけれど。
しっかりマスクして、自分の尊厳も他者の尊厳も大事に本日も生きるのですわよ…と思わせられたことは
書いておきたくて認(したた)めました。

2021年9月9日読了

榎本由美氏 展「RONDE」について…

この夏、コロナ下ながら作家榎本由美氏にお誘いいただいて初台の画廊喫茶zaroffで展をご一緒させていただくことになり、Twitterなどでお知らせ致しましたとおりに本日31日に最終日を終えました。
今回belneはキュレーション的なお手伝いを少しだけさせていただいております。
絵のコンセプトは先生の中にあるものですが、途上いろいろな泰西名画をディスカッションしたり、映画の話をしたり
Salomeの話をしたり。
そしてキービジュアルの沙漠の女王ゼノビアを頂き6月のコミティアでペーパーに記載し、ザロフでの情報解禁に合わせて、サイト告知も致しました。
告知・ポスター・DMならびにザロフの窓飾りポスターとザロフスタッフ様の優れたお手を借りて2F画廊の壁面デザインにも若干のお手伝いをさせて頂きました。
またコンセプトを汲んで展の図録を兼ねた抄画集のデザインもさせて頂きました。
榎本先生の展示作品のサンプルは展終了後ですがザロフのブログで見ることが出来ます。
http://blog.livedoor.jp/zaroff/archives/10415481.html
以下その展のベルネによる感想綴りです。


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榎本由美氏 展「RONDE」について…


「ゼノビア」はローマ帝政時代3世紀にパルミラ女王として軍を率いローマに抵抗した沙漠の女王。
多くの逸話を残したバト・ザッバイを幻想の沙漠の中に置いてそのErosとThanatosとを描いた「沙漠の女王」シリーズ
パルミラのゼノビアがこの展の最初の主人公である。
そしてサロメとユーディットまたは北欧神話で男達を虜にしその川辺でその骨を白く洗う妖人魚ウンディーネ
キャンソン紙に硬筆の鉛筆で刻まれたファム・ファタールのエロスと其れを取り巻く廃墟に似た沙漠の幻影。
彼らの性別不詳の白い肉体の豊かな乳房は芳醇な母なる乳房というよりも、時に漢の運命の如く屹立するファロスのごとき武装のようにみえる。
古代神話のメトープを飾る残酷さのような、過剰に思えるほどのエロスを刻んだ碑銘のような鉛筆画のモノクロームの精密画にはもうひとつビジュアルゴシックの黒のドンテールのように陰影を落とす榎本氏の愛する音楽群の陰りが通奏低音のように流れている。

高貴な処女性と淫らな欲情とがひとりの人間の中に内在し交錯する。
聖なるものの中で切り捨てられることのない人間的な汚濁。
神話や寓話に時に、しばしば、登場する「忌むべきもの」。
聖なる光を浴びてこそ蔭なる闇に沈む夜があることがその白い裸身が纏う背景の「NOIR」に潜んでいる。

初台に幻出したこの異空間であるギャラリの歪みに滑り込んだ白日夢のように前回のザロフ展から「描くもの」として一歩歩みを進めた榎本氏の丁寧な職人としての現在もまた浮き彫りになった一週間だった。

−−−−−−−
あとがき−−−−−−
階下にお誘い頂き濃厚なショコラテと薔薇水の香る濃密な喫茶に拙作を陳列させて頂いたご恩も忘れずに附したい。負けじと描き下ろしには小さな紙を選んで気合いを入れ旧知の手練れである渡辺みどり氏に長年の絵から選りに選って頂いたポートフォリオを持参してなんとか釣り合いが取れたのではないかとぞんじます。
敷居の高いザロフに快く展開をお許し頂いた石井さんの寛大にも御礼を。

ザロフ個展のお知らせ

画廊喫茶ザロフにて榎本由美先生とのw個展RONDEを開催中です。
こちらに開催中の今季の絵を掲載いただいております。
http://blog.livedoor.jp/zaroff/

※額絵等ブログ掲載の作品は電話でのオーダーも可とのこと
(来展での売約とタイムラグがあるのでその際はご了承下さい)
ザロフにお電話でご確認下さい。
お届け送料は着払いのみとなります。
受け渡しは郵送かザロフさん受け取りがお選びいただけます。
個展作品はザロフさんに
03-6322-9032
​お申し込みください
画廊喫茶ザロフ


belne、アートファクトリィでのお取り扱いはありません。

本日JGARDEN たー11ab

本日の新刊
日の入り方 28P A5 400円

冬コミ【新作】belne'sloveEX 青い空の夢 600
       【総集編】belne'slove SingleCut 1000 
10月コミティア新刊
HANEMONO4 500

10月 Jガーデン新刊
飾り窓 500
夏のコミティア刊
hanemono mini フルカラー版 A5サイズ12P(表紙込み) ¥300
日高トモキチ描き下ろしフルカラーマンガ2P BELNEペンギンシリーズ 3P 真白 えれめんと 2P 他にカバー・扉・目次等。
不思議ファンタジーのミニミニ1冊です。
 
フレッド君新刊 清流龍之霹靂 A5サイズ12P(表紙込み) ¥200

暑い夏、フレッド君は月泉苑に龍を召喚します。 夏涼みマンガ8P

その他持込
夏コミ刊
belne'slobe21シリーズ 七つの智恵の柱#02「火の柱」  1000
ベルネとガードルード・レアモンはアルドウの舞踏「火の柱」を観に行くがそこに舞踏家「グレン」が居て…
B6カバー口絵付き92頁 読み切りシリーズです。
◆3月展覧会図録
 北極ジャングル7 ソラノイリグチ フルカラーA5版 400円 
◆5月のコミティア新刊
hanemono special NIKE 500
◆Jガーデン刊
文藝ジュネ 花もなく ¥400
富士山の裾野の宿に社員旅行に行った支社長と金多のお話
文藝ジュネ作品総集編「春陽」 ¥900
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以下少部数(1〜2部)持込(夏コミから転送なので、欠品有るかも知れません)
◆冬コミ 刊行
DRAGON belle's love EX 26P Y600           若干持込
ロンドンの佳き日 総集編 【7】Y1,000         若干持込
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ロンドンの佳き日 総集編 【5】【6】
HANEMONO3 y500
文藝ジュネ 夢の畔 Y400
七つの智恵の柱#01 belne'slobe21シリーズ 1000
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belne'slove 本編シリーズは 1-2冊の持ち込みです。(各1000)

BELNE'SLOVE21
0路上の花
1・Closer
2・Tower
3・RainGARDEN
4・SING
5・VISION
belne'slove 21
七つの封印 第一章〜第15章(終章)

belle's love本編 第一部 9〜16(オンデマンド再版 印刷劣化があります)
※(きょうだい堂さん閉業の為、現在在庫(6〜7冊)終了で絶版になります)
9 doom
10 blond
11 razore
12 ROSE
13 LUCK
14 Please
15 MAGENTA
16 No Rose
 blend's love 本編 第二部 1〜8(一部オンデマンド再版 印刷劣化があります)
1 not end the world(オンデマ)
2 show must go on
3paris blue
4 レザレクション復活
5 Golden Dawn
6 Rise In The Night
7 SWORD(オンデマ)
8 PARADE(オンデマ)
プロフィール

belne

Author:belne
中古まんが家belneの公式ブログです。
週3日京都の人になっています。
仕事のお知らせや、自費出版のお知らせ
他愛のない一言日記
日常徒然日記等等を時々更新。
更新が滞るときは元気に仕事をしているはず。
ちょっと滞り中の公式サイト
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