この夏、コロナ下ながら作家榎本由美氏にお誘いいただいて初台の画廊喫茶zaroffで展をご一緒させていただくことになり、Twitterなどでお知らせ致しましたとおりに本日31日に最終日を終えました。
今回belneはキュレーション的なお手伝いを少しだけさせていただいております。
絵のコンセプトは先生の中にあるものですが、途上いろいろな泰西名画をディスカッションしたり、映画の話をしたり
Salomeの話をしたり。
そしてキービジュアルの沙漠の女王ゼノビアを頂き6月のコミティアでペーパーに記載し、ザロフでの情報解禁に合わせて、サイト告知も致しました。
告知・ポスター・DMならびにザロフの窓飾りポスターとザロフスタッフ様の優れたお手を借りて2F画廊の壁面デザインにも若干のお手伝いをさせて頂きました。
またコンセプトを汲んで展の図録を兼ねた抄画集のデザインもさせて頂きました。
榎本先生の展示作品のサンプルは展終了後ですがザロフのブログで見ることが出来ます。
http://blog.livedoor.jp/zaroff/archives/10415481.html
以下その展のベルネによる感想綴りです。
---------------
榎本由美氏 展「RONDE」について…
「ゼノビア」はローマ帝政時代3世紀にパルミラ女王として軍を率いローマに抵抗した沙漠の女王。
多くの逸話を残したバト・ザッバイを幻想の沙漠の中に置いてそのErosとThanatosとを描いた「沙漠の女王」シリーズ
パルミラのゼノビアがこの展の最初の主人公である。
そしてサロメとユーディットまたは北欧神話で男達を虜にしその川辺でその骨を白く洗う妖人魚ウンディーネ
キャンソン紙に硬筆の鉛筆で刻まれたファム・ファタールのエロスと其れを取り巻く廃墟に似た沙漠の幻影。
彼らの性別不詳の白い肉体の豊かな乳房は芳醇な母なる乳房というよりも、時に漢の運命の如く屹立するファロスのごとき武装のようにみえる。
古代神話のメトープを飾る残酷さのような、過剰に思えるほどのエロスを刻んだ碑銘のような鉛筆画のモノクロームの精密画にはもうひとつビジュアルゴシックの黒のドンテールのように陰影を落とす榎本氏の愛する音楽群の陰りが通奏低音のように流れている。
高貴な処女性と淫らな欲情とがひとりの人間の中に内在し交錯する。
聖なるものの中で切り捨てられることのない人間的な汚濁。
神話や寓話に時に、しばしば、登場する「忌むべきもの」。
聖なる光を浴びてこそ蔭なる闇に沈む夜があることがその白い裸身が纏う背景の「NOIR」に潜んでいる。
初台に幻出したこの異空間であるギャラリの歪みに滑り込んだ白日夢のように前回のザロフ展から「描くもの」として一歩歩みを進めた榎本氏の丁寧な職人としての現在もまた浮き彫りになった一週間だった。
−−−−−−−
あとがき−−−−−−
階下にお誘い頂き濃厚なショコラテと薔薇水の香る濃密な喫茶に拙作を陳列させて頂いたご恩も忘れずに附したい。負けじと描き下ろしには小さな紙を選んで気合いを入れ旧知の手練れである渡辺みどり氏に長年の絵から選りに選って頂いたポートフォリオを持参してなんとか釣り合いが取れたのではないかとぞんじます。
敷居の高いザロフに快く展開をお許し頂いた石井さんの寛大にも御礼を。
今回belneはキュレーション的なお手伝いを少しだけさせていただいております。
絵のコンセプトは先生の中にあるものですが、途上いろいろな泰西名画をディスカッションしたり、映画の話をしたり
Salomeの話をしたり。
そしてキービジュアルの沙漠の女王ゼノビアを頂き6月のコミティアでペーパーに記載し、ザロフでの情報解禁に合わせて、サイト告知も致しました。
告知・ポスター・DMならびにザロフの窓飾りポスターとザロフスタッフ様の優れたお手を借りて2F画廊の壁面デザインにも若干のお手伝いをさせて頂きました。
またコンセプトを汲んで展の図録を兼ねた抄画集のデザインもさせて頂きました。
榎本先生の展示作品のサンプルは展終了後ですがザロフのブログで見ることが出来ます。
http://blog.livedoor.jp/zaroff/archives/10415481.html
以下その展のベルネによる感想綴りです。
---------------
榎本由美氏 展「RONDE」について…
「ゼノビア」はローマ帝政時代3世紀にパルミラ女王として軍を率いローマに抵抗した沙漠の女王。
多くの逸話を残したバト・ザッバイを幻想の沙漠の中に置いてそのErosとThanatosとを描いた「沙漠の女王」シリーズ
パルミラのゼノビアがこの展の最初の主人公である。
そしてサロメとユーディットまたは北欧神話で男達を虜にしその川辺でその骨を白く洗う妖人魚ウンディーネ
キャンソン紙に硬筆の鉛筆で刻まれたファム・ファタールのエロスと其れを取り巻く廃墟に似た沙漠の幻影。
彼らの性別不詳の白い肉体の豊かな乳房は芳醇な母なる乳房というよりも、時に漢の運命の如く屹立するファロスのごとき武装のようにみえる。
古代神話のメトープを飾る残酷さのような、過剰に思えるほどのエロスを刻んだ碑銘のような鉛筆画のモノクロームの精密画にはもうひとつビジュアルゴシックの黒のドンテールのように陰影を落とす榎本氏の愛する音楽群の陰りが通奏低音のように流れている。
高貴な処女性と淫らな欲情とがひとりの人間の中に内在し交錯する。
聖なるものの中で切り捨てられることのない人間的な汚濁。
神話や寓話に時に、しばしば、登場する「忌むべきもの」。
聖なる光を浴びてこそ蔭なる闇に沈む夜があることがその白い裸身が纏う背景の「NOIR」に潜んでいる。
初台に幻出したこの異空間であるギャラリの歪みに滑り込んだ白日夢のように前回のザロフ展から「描くもの」として一歩歩みを進めた榎本氏の丁寧な職人としての現在もまた浮き彫りになった一週間だった。
−−−−−−−
あとがき−−−−−−
階下にお誘い頂き濃厚なショコラテと薔薇水の香る濃密な喫茶に拙作を陳列させて頂いたご恩も忘れずに附したい。負けじと描き下ろしには小さな紙を選んで気合いを入れ旧知の手練れである渡辺みどり氏に長年の絵から選りに選って頂いたポートフォリオを持参してなんとか釣り合いが取れたのではないかとぞんじます。
敷居の高いザロフに快く展開をお許し頂いた石井さんの寛大にも御礼を。